2020.07.14
家づくりをする際に重要視する点は、みなさんそれぞれ違うと思いますが、この地震大国ニッポンに住んでいる以上『地震に強い家』は少なからず重要視すべきことではないでしょうか。
ただ、一口に『地震に強い家』と言っても、その基準をご存じの方は、それほど多くはありません。地震に強い家の指標となる「構造計算」と「耐震等級」について簡単にご説明します。家づくりをする方は知っておいて損のないことですよ。
その家が地震に強いかどうかは、どうやって判断すればよいのでしょうか?地震に強い家かどうかを知るには、家の強度を確認する必要があります。家の強度の確認とは、以下の3つの分野を計算・検討するものです。
壁の強さ…壁量、耐力壁配置、床強度
部材の強さ…柱強度、梁強度、柱接合部強度、梁接合部強度
地盤・基礎の強さ…基礎強度
また、家の強度の確認には、次の3通りの方法があります。
〇壁量計算:建築基準法で定められている、最も一般的で多くの会社が採用している計算方法です。壁の量だけで、地震や台風などの横の力(水平力)によって建物が倒れないかを検証する簡易的な計算方法で計算結果の資料はA3の用紙1枚程度です。
法律では木造2階建て以下かつ500㎡以下はこの「壁量計算」のみでOKとされています。
〇性能表示計算:耐震等級2、 3を確保するために壁量計算に加えて、「床・屋根倍率の確認」と「床倍率に応じた横架材接合部の倍率」を検証した計算方法です。
長期優良住宅を建てる際や、多くのハウスメーカーはこの計算で耐震等級を導き出しているとされています。
〇構造計算:上記の3つの分野全てを緻密に調べることができるの計算のことです。木造の構造計算の話はなかなか難しい分野です。住宅業界に従事している人間でも、よっぽど専門にやっていない限りその中身を理解している人はほとんどいません。そのため、構造計算は実際に家を建てるハウスメーカーや工務店が行うのではなく第三者機関に依頼して行います。
構造計算の計算資料(構造計算書)はA4の用紙で数百枚になります。
ここまでお話しして、「構造計算」が一番高度な計算だということはお分かりいただけたと思います。それなのに日本で建てている住宅の80%は構造計算をしていないことをご存じですか?
構造計算は、2階建て木造住宅のうち、「小規模建築」(面積で500㎡以下.木造の2階建て以下という条件)とみなされる家屋では、法律上義務化されていません(一般的な住宅はほぼ500㎡以下です)。これらの家の強度確認は、壁量計算のみでもOKなのです。
構造計算は調べる分野も多く時間もコストもかかります。それだけに住宅会社にとっては完成してしまえば外からでは見えない柱や基礎、接合部という構造部分となると、コストダウンを図りたいハウスメーカーとすれば、ここに予算はなるべくかけられない・・・と考える、これが現実なのです。構造計算をしていなくても、【建築基準法】を満たしているから大丈夫です!きっと多くのハウスメーカーが言うでしょう。一般の方にとって、この【建築基準法】という言葉はとても強大で絶大なイメージですよね。
ですが建築基準法で定めている建物の安全性は「最低限の基準」であって「最適な基準ではない」ことを理解しておきましょう。
もうひとつ、地震に強い家を建てるために知っておいていただきたいのが、「耐震等級」です。「耐震等級」とは、地震に対する家の強さを示す指標のことで、構造計算は求める建物の構造安全性のレベル(目標)に向かって計算・検証していく計算手法なので、どのレベルを目標とするかが非常に大切なことになります。
目指す目標レベルは3つあります。
〇耐震等級1:建築基準法の耐震基準を満たす最低ラインです。その基準は「震度6強の地震が来たとき、傾きはしても倒壊しない」というものです。
〇耐震等級2:耐震等級1の、1.25倍の地震に耐えられる強さ。一般的な病院や学校で採用されている基準です。
〇耐震等級3:耐震等級のなかでは最高ランク。耐震等級1の、1.5倍の地震に耐えられる強さです。
これは、防災拠点となる消防署や警察書を新築する際に採用される基準と同等になります。
耐震等級3にもランクがある!?
当然、耐震等級3が目指すレベルだと理解頂けると思いますが、耐震等級3の中にもランクがあります。
このようなことから、大規模地震が来ても耐震等級3の家であれば安心、全壊しないという考えが普及しつつあるのです。
「構造計算」と「耐震等級」という、2つの指標が重要ということはお分かりいただけましたか?より安心できる家づくりのために、構造計算によって強度確認をすること、そして、目指す強度の指標として、耐震等級3の基準を持つこと。この「構造計算」と「耐震等級」は、大切な家族にとって安心・安全な家づくりをするためにも両方とも持っておきたい指標であることだということを、是非覚えておいてくださいね。
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