2021.01.05
間取りは家づくりをする時に最も時間をかけ、こだわる方が多いひとつです。それなのに、住んでから、その間取りや広さに約2割の方が不満を持っているといいます。その原因のひとつが、家事動線の悪さ、使いにくさ。家事は毎日のこと。効率と利便性を意識して使いやすく過ごしやすい間取りを考えてみましょう。
家事動線とは炊事・洗濯などをする人が、家事をするために移動する経路のこと。毎日必ず行われる事なので、いかに無駄なくスムーズに家事が出来るか、これが毎日を快適に心地よく生活していくことに繋がります。 自分が家事をするためにどのように動いて、そこに何があると便利なのか、スムーズに家事が出来るのかをまとめて、間取りを考えていきましょう。
家事動線で考えることは、まず主にママが行うであろう料理・洗濯・掃除、この3つがまとまっていて、さらにそこへ付随する細々とした名もなき家事たち(子供のプリントチェック、ゴミの分類、子供のお風呂の手伝いや歯磨き。。。などなど)も同じ動線上で出来ることが望ましいと思います。
朝、昼、晩、キッチンで料理をする際、同時進行で行う家事は何ですか?これは、人それぞれ違うと思いますが、すべての家事を“●●しながら”で行うと思います。例えば、
朝、朝食を作りながら、家族のお昼のお弁当を作るママ。この場合は、まずキッチンでは朝食用のお皿や茶わんと同時にお弁当も並びます。そこへ水筒などもあれば、さらにスペースが必要になります。効率よく料理をこなすためには、この料理やお弁当たちを置くための場所が1歩2歩の移動で行ける場所にあること。
これが、キッチンからぐるっと回って、ダイニングテーブルに持っていく。。。なんてことになると、かなりのタイムロスです。そのため、目の前にカウンターがあって、そこにどんどん料理などを並べて、向こう側から家族がテーブルに運んでくれる、そんな間取りが理想ですね。
また、同時に洗濯物を干すというママ。その際は、料理の合間に洗濯機に洗濯物取りに行き、干す。これが、例えば洗濯物を干す場所が2階だったり、外だったりした場合、あっち行って、こっち行ってと移動距離がかなり多くなります。もしも、洗濯物を干す場所が2階や外にしかない場合は、仮干しできる物干しなどがキッチンの近くにあると、それだけで便利です。 夕食の後や夜に洗濯をするママ、共働きで外干しをしないママ。その場合は洗濯物専用の部屋があると、干しっぱなしでも気にすることがなく、良いですね。洗濯室に洗濯機と干すスペースがあるので“洗う”と“干す”の移動距離が短くなります。また、洗濯室から直接外干し出来るウッドデッキにアクセス出来ると外干しもしやすくなります。ここで“干す”から“片付ける”の距離も短くなると、さらに便利です。洗濯室に衣類を片付けるスペースを設けたり、隣にクローゼットを設けるのも良いですね。夜ですとお子様のお風呂のお手伝いやトイレのお世話など、やはり水廻りに関わることが同時に起こりますので、水廻りが隣り合う間取りは便利です。
子供のおもちゃがいつもリビングに散らかっていたり、ランドセルや学校帰りのカバンなどがリビングに散らかっていると、片付ける手間も増えますし、散らかり様を見るだけでぐったりしてしまいます。それらの物を片付ける収納スペースをリビングまわりに作ると、片付けがスムーズなためリビングも散らかりません。また、どこからでもアクセスできる場所にを広く収納を作り、何でも収納できるたり、ファミリークロークを広くし、朝の着替えなどもそこで行うようにすると、着替えがスムーズになり、衣類に関する一連の動作(洗濯物を片づける、着替える、毎日の服を選ぶ、衣替えをするなど)がとても楽になります。これは、家事動線を短くするだけではなく、家族の衣類の管理をし易くなるメリットもあります。
見落としがちな掃除。家事動線や生活動線に組み込まれないことが多いので、ここが一番後々の後悔につながりやすいのです。掃除は特に無駄の多い動きが多い家事です。これをシンプルにするのはとても難しいのですが、家事動線や生活動線に掃除を組み込むことで少し掃除が楽になります。
例えば、洗濯物を干したついでや歯を磨いたついでに洗面脱衣室の床掃除。そのために洗面脱衣室にクイックルワイパーを置いておく。また、家を出る際にちょこっと掃除機をかけられるように、玄関横にスタンドタイプの掃除機を置いておく。キッチンでの料理、片付けが終わったらキッチン周りや床拭きをするために、拭いたら捨てても良いような使い古しの布巾やタオルを用意しておく。テレビ台周りなど、埃がたまりやすい場所の近くにハンディモップを置いておく。
これだけでも、まとめて週末に掃除する時間は格段に減ります。ここ最近ではロボット掃除機がお求めやすくなりましたので、日々の床掃除はこのロボットにお任せ出来ると楽ですね。
ここまで、ママ中心の家事動線に注目してきましたが、パパや子供にも家事を手伝ってもらえたら有難いですよね。実は家族みんなが動きやすい動線にすることも大切なのです。洗濯物を片付けやすい工夫だったら洗濯物を干しているすぐ近くに片付けられる引き出しがある!掃除を手伝いたくなるように、掃除用具が手に取りやすいところにある!料理の配膳を手伝いやすい工夫だったら、何歩も歩かずに配膳できるようにダイイングテーブルを置いてある!など、誰もがさっと手伝えるような動線計画をすると、家事の手伝いが面倒ではなくなります。また、朝に混みあう洗面台。2人でも使えるように洗面ボウルを2つ用意したり、カウンターを広くしたりするだけで、家族同士の動線がぶつかりません。回遊できる間取りも同じです。一方向からしか洗面室やキッチンへ行けないと、ここでも動線がぶつかります。家族みんなが快適に暮らせる動線=間取りが一番大切です。
間取りを考える際、どうしても部屋の広さや部屋の数に意識が向いてしまい、家事動線は後回しになりがちです。ですが、長く住むであろう家には、何よりも動線計画が大切なのです。動線計画は間取り計画につながります。ここをしっかり考えて、後悔のない家づくりをしてくださいね。