2021.08.17
エアコンに頼らない家とは、周辺環境を考慮しながら自然エネルギーを活用して、機械による冷暖房だけに頼らずに室内環境を快適にする家のことです。これを「パッシブデザイン(passive design)」といいます。ドイツ発祥の設計手法で、四季がある日本には少し難しいところもありますが、要するに「夏涼しく、冬暖かい家」を実現するための手法の基本となります。この「パッシブデザイン」を簡単にご説明します。
7割以上の熱が窓やドアなどの開口部から出入りします。そのため、夏はまず太陽熱を遮ることが重要です。夏の太陽は高度が高いため、軒や庇、簾で太陽光を室内に入れないようにします。また、暖かい空気は上部に移動するため、1階で暖まった空気は天井や2階へ移動します。自然の風を利用して、その暖かい空気を外へ追いやるために、その土地の風向きを考慮して、風が部屋の中を通り抜けるように窓の位置や高さを決めることも重要になります。
冬は、太陽の高度が低いため、太陽熱を室内に取り入れやすくなります(軒を大きくつくっても、太陽熱が室内に入る邪魔はしません)。太陽の高度が低いので、南側に太陽熱を遮るものがあると、冬の太陽熱を室内に取り入れることができなくなります。太陽熱が取り入れられないということは、太陽光も取り込めないということになります(光を取り込めないと昼なのに室内が暗く、照明をつけることに。。。)。
これらの事を回避するのに、もっとも大切なのは敷地をしっかり考慮した建物計画です。
自然のエネルギーを利用するということは、家を建てる敷地の廻りにどんな建物があるのかをよく知る必要があります。
例えば、家を建てようと考えている敷地の南側の隣家が大きいと、冬の高度の低い太陽熱は取り込めず自然エネルギーを利用することが難しくなってしまいます。
その打開策として、隣家から可能な限り離れた場所に家を建てることで、冬の低い高度の太陽熱も取り込むことが可能になります。
もう一つは、中庭をつくり南側の隣家方向からではなく、上部から太陽熱を取り込む方法です。これも、最近ではよく見かける建物計画です。
敷地によって周辺環境や敷地の形状、隣家の建物、方位、太陽の角度や風向き、建築基準法など様々な条件があります。それら全てを考慮して計画をしないと、自然エネルギーを利用できないだけではなく、快適さからほど遠い建物になってしまいます。→敷地をしっかり調べる敷地調査とは?
建物の断熱効率を上げるためには、窓の断熱性能を高めることが特に重要です。熱は、夏は約70%が窓から侵入し、冬においては約60%が窓から流出します。
窓の断熱性能を高めることは、冬は自然エネルギーによって温められた空気を外に逃がさず、夏は外の暑い空気を室内に侵入させないことで、冷暖房機器の効率性も高まり、節電にもなります。→断熱性能の良い高断熱の家を建てている、栃木の工務店はこちら!
パッシブデザインとは、日本のような四季のある地域にこそ「冬暖かく、夏涼しい」、自然の力で少しでも快適に・効率的な家をたてることが出来るとても自然な手法です。ですが、パッシブデザインは簡単ものではありません。様々なデーターと建築家としての経験を駆使して完成される奥深いものです。パッシブデザインに興味のある方は、ぜひ、その道に詳しい建築家を探すことから始めてみてください。→パッシブデザインを考慮した設計を得意とする、栃木の工務店はこちら!