2021.12.07
デザイン住宅や建築家の建てる家は<建築化照明>を取り入れている事が多く、その設計がうまくできていることがとても重要です。<建築化照明>とは、建物の一部として壁や天井に照明器具(間接照明器具)を組み込み、光のグラデーションなどを利用して空間を演出する間接照明などの手法です。<建築家照明>と聞くと「難しそう。。。」と思いがちですが、実はそれほど難しくはありません。ここでは第一住宅で施工した<建築家照明>について簡単にご紹介します。
天井の一部をのばして、その上に光源(照明器具)を設置したり、折り上げ天井の隅に光源をかくして天井を照らす間接照明の一種で、「コーブ照明」と言われます。hのサイズが大きいほど天井を広く照らすことができ天井の高さがより高く見えます。逆にhが小さいと影をつくらずふわっとした優しい印象になり、部屋を明るくするというより、アクセント的な要素が大きくなります。
K様邸:正面から見た様子
K様邸:横から見た様子
O様邸:正面から見た様子
上の2枚のK様邸のhはおよそ100mm、下のO様邸のhは倍以上の250mmです。照明の色でも雰囲気は変わりますが、光の広がり方がhの大きさで全く変わります。→照明の色に関しては<照明の選び方で生活の質が変わる!?後悔しない照明の選び方>で詳しく説明しています。
こちらは天井の一部を大きくのばした例です。建築家照明のためというだけでなく、ベットの枕側の天井を低く感じさせることで、よりリラックス効果がうまれます。
こちらは勾配天井を照らしています。天井を木張りにしているので、よりふわりとした温かい雰囲気を演出しています。
壁際に一部切り欠きを設け、その中に照明器具を設置します。「コーニス照明」と言われており、壁に反射した光で空間に広がりを与えてくれます。
<A>は光の広がり方が曲線を描くように優しく、<B>は直線的に光が広がります。「コーニス照明」は「コーブ照明」と違い、部屋全体を明るくするというよりは、照らした場所にあるものを際立たせたり、シャープな雰囲気を演出するのに向いています。また美しい陰影や光彩を愉しめるので、壁の素材を意識して選ぶと効果的な空間演出が可能でしょう。ですが、コンセントやスイッチがあるとそこに余計な陰ができてしまうのでせっかくの演出効果が半減してしまいます。照らす壁にも注意が必要です。
床を照らすといっても、方法はいくつかあります。どの方法でも少し暗いと感じるかもしれませんが、光源が直接目にふれないので、リラックス効果が期待できます。
床を照らす建築家照明は、照明器具が見えてしまわないように取り付け位置を注意しましょう。また、照らされる床が光を反射しやすい素材ですと光源が映りこんでしまい、せっかくの建築家照明も残念なものになりますので、素材選びにも注意が必要です。
天井を照らす場合のほとんどが、壁際から天井を照らしますが、こちらは空間の真ん中から天井を照らしています。このように、壁際ではなく空間の真ん中の壁を天井までふさがず、上部をオープンにすることで、2つの空間の天井を同時に照らすことができます。
こちらは、玄関とシューズクロークを同時に照らしています。漆喰の柔らかい質感に光が反射してより明るく感じられます。
こちらは寝室のベットの後ろに建築家照明を施した例です。アクリルパネルを照明器具の上部に設置しているので、ちょっとしたカウンターのようにも使えます。光の重心が下に来ることにより落ち着いた雰囲気を演出できます。
こちらは洗面台の鏡の下に建築家照明を施しています。手元が優しく照らされ、タイルやカウンターの木目をよりキレイに見せてくれます。
いかがでしたか?照明はただ明るくするだけでなく、人の感覚にも働きかけてくれます。
その空間をどんなふうに見せたいのか、どのような使い方をして、どのような効果を得たいのかなど、しっかりと考え、もっとも適した照明計画を選択していきたいですね。
また建築家照明を採用することで、ワンランク上の空間演出が出来ますが、設計力だけではなく大工さんや電気業者さんの手腕によるところが大きいです。建築家照明はしっかりとした計画下でのみ成功する手法です。失敗のないように、念密な打ち合わせをおすすめします。