2023.06.13
新築で家づくりを始めるにあたり、実際に家を建てる土地で最初に行うことの一つが「地鎮祭」です。「地鎮祭」と聞いて、何となくのイメージは分かっていても、基本的な流れや服装、そもそもなぜ行うのかを知らない方も多いのではないでしょうか。ここでは地鎮祭の基本をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
建物を建て始める前に神主を招き、その土地を守っている氏神様を祭り、神様に土地を利用する許可を取り、神様に対して工事の安全を祈願するとともに、そこで安全・安心に暮らしていけるよう願う儀式です。一般的には「じちんさい」「じまつり」と呼ばれていますが「とこしずめのまつり」という読み方もされます。地鎮祭を行うかどうかは、施主が判断する立場にあり、義務ではありません。時代の流れで、最近は「地鎮祭」を執り行わない方も増えています。
地鎮祭の日取りの決定は、一般的には、六曜の吉日である「大安、友引、先勝」の午前中に行うのがよいとされています。一方、「仏滅、先負、赤口」や「三隣亡」という建築関係の大凶日は避けたほうがよいとされています。
また、地鎮祭は雨の日でも行われる場合が多いようです。雨は土地を清め縁起がよいとされているため、雨の日に地鎮祭を執り行ったといってマイナスになるとは考えられていません。現実的には、神主の再度の日程調整や、工事スケジュール延期が難しいことが多いというのが実態のようです。地鎮祭の依頼先ですが、以前はその土地の氏神様を祀っている神社へ地鎮祭を依頼することが多かったようですが、現在はそのようなケースは少なくなっており、神主への依頼は工事業者が行ってくれることがほとんどになります。もちろん、施主側で神主を手配しても問題ありません。なお、神主は年間を通してさまざまな神事を行っていますので、地鎮祭の日取りは複数の候補を決め、早めに依頼をしておきましょう。
まずは工事業者側が、実際に立てる建物の基礎の大きさ通り、配置通りに縄を張ります。これを「地縄張り」と言います。施主側はこの地縄を見て、建物の配置や大きさの最終確認をすることになります。
地縄の内側に4本の竹が立てられ、しめ縄飾りが張られます。その中に祭壇を用意し盛砂を作り、祭壇に置いた三方の上にお供物をお供えします。祭壇は南向き、もしくは東向きが一般的です。祭壇に飾るお供え物は地域や予算によって違いがありますが、一般的には海の物・山の物・野の幸・お酒(祝儀用の熨斗紙に「奉献」と記入したもの)、その他にお米・水・塩になります。お供え物は5,000~1万円程度に収まることが多いでしょう。最近では工事業者(神主)側がお供え物も準備し、施主が準備しておく物は初穂料のみというケースも増えています。初穂料については、後ほど詳しくご紹介します。
まず、式に参加する際の服装は、フォーマルな格好が基本になりますが、最近では特に個人宅の場合は、普段着で出席する人も増えています。ですが清潔感のある服装を心がけ、極端に派手なものや露出の多いものなどは避けた方が良いでしょう。
地鎮祭の式は、「修祓の儀(しゅばつのぎ)」から「直会(なおらい)」まで10~12の次第で構成されているのが一般的です。昔は、「閉式の辞(へいしきのじ)」の後に神主が現場を去り、その後簡単な食事会である「直会(なおらい)」をしていましたが、最近では直会を式の最後に組み込み、参列者全員でお下げしたお神酒をいただくことが普通となってきました。もちろんお酒ですので、いただくふりで構いません。
地鎮祭式の中で施主側が行うことはいくつかあります。
まずは式の中盤頃の「四方祓い(しほうはらい)」です。これは、お米とお塩、白紙によって土地を清める所作です。神主が「大麻(おおさぬ)」でお祓いをし、施主側も一緒に土地の四方を清めます。
次は神主から鎌(かま)・鍬(くわ)・鋤(すき)を受け取り以下の所作を行います。
①鎌を使って盛砂に草を刈る所作をする②鍬を使って土を掘り起こす③鋤を使って土地を均すという流れとなります。
②の“鍬入れ”という盛り砂を掘り起こす所作は、鍬を入れる時には、鍬を入れる動作を3回「えい、えい、えい」と声を出して行い、その土地に手を付けることを神様に伝える意味があるため、工事業者側が行い、①と③を施主側が行うことが多いようです。
また、「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」では玉串を祭壇に置き、二礼二拍手一礼を行います。祭壇に玉串を置く際は茎を祭壇に向けて、両手で置くようにしましょう。作法に関しては神主よりお声がけがあると思いますので、それに従いましょう。この行いは参列者全員で行うとよいでしょう。
地鎮祭にかかる時間は、一般的に30〜40分程度です。お子様が参列する際は、少し退屈してしまうかもしれませんが、その土地に住まわれるご家族全員での参列が望ましいでしょう。
地鎮祭は、近隣に最初の挨拶回りをするきっかけにもなるため地鎮祭の終了後、ご近所さんへの挨拶回りすることが多いでしょう。その場合は粗品と工事期間や工事業者側の連絡先や携帯番号を記載した挨拶書面を用意してもらい、それらをもって現場監督と一緒に挨拶するとよいでしょう。粗品はタオル程度のモノで十分で、工事業者側が用意してくれる場合が多いようですが、事前に確認をしておくとよいでしょう。
地鎮祭では、工事業者(神主)側が準備を行ってくれる場合が多く、最初の時点で現場諸経費として組み込まれている場合もあります。そのため、地鎮祭の準備のために追加で費用がかかる部分は少なく、施主が新たに負担する費用は「初穂料(神主さんへの謝礼)」と「奉献酒代」のみです。
一般的な個人宅の場合の初穂料(玉串料)の相場は3~5万円です。お供え物は前述したとおり、工事業者(神主)側が用意してくれる場合や、建築費用の諸費用に含まれている場合もありますので、事前に確認を行いましょう。また、お供え物を神主側が準備する場合もありますので、その場合は別途「お車代」として1万円程度お包みすることをおすすめします。
初穂料の熨斗(のし)袋は、基本的に「水引」か「蝶結び」のものを使います。また、初穂料は3~5万円を包むのが一般的なので、水引の取り外しが可能で、中袋がある熨斗袋を使用するのとよいでしょう。水引が印刷されたタイプの熨斗袋は、包む金額が1万円以下の場合に利用されるのが一般的ですので初穂料には使用しない方がよいでしょう。
熨斗袋には、毛筆や筆ペンで、水引より上段中央に「初穂料」または正式に「御初穂料」や「玉串料」、下段には、「初穂料」よりも少し小さめに、施主の指名を記載します。連名でも構いません。
「奉献酒」は一升瓶2本組か1本を用意します。3~5千円程度が一般的です。前述したとおり祝儀用の熨斗(のし)紙に「奉献」と記入したものを付けてもらいましょう。こちらも工事業者側が用意することがあるようですが、お祝い事ですので施主側も用意してもよいでしょう。
この「鎮め物」は、お施主様側が鋤で砂を掘り起こした後に、神主が「鎮め物」を据え、安全を祈念します。その土地に工事の安全を願って鎮める大切なものがこの「鎮め物」です。「鎮め物」は、箱や封筒など地域や神社によって違いますが中身は、人型・盾・矛・小刀・長刀子・鏡・水玉の七つが一般的だそうで、土地(地面)の神様へのお供え物だそうです。
そして、「鎮め物」は建物の中央にあたる場所に埋めます。。一般的には、工事業者が基礎工事の際に埋めます。埋めてしまうと「鎮め物」を見ることは出来ませんが、これからの工事の安全、完成してからこの土地で暮らすご家族に安穏と幸福をもたらすと考えられています。この写真のように、埋めている写真を撮影しておいてもらうと、記念になるでしょう。
たまに、「鎮め物」を埋め忘れた。。。なんて話を聞きますが、その場合は敷地内の踏まれない場所に埋めれば良いとのことです。あくまでもその土地を鎮めるものですので、建物の中心でなくても問題なく、埋めなくても神棚などに御祭しても良いとされています。
地鎮祭は、最近では行わない方も増えていますがが、昔ながらの行事ごとで安心できるという方もいるでしょう。いよいよ工事が始まるという段階で改めて関係者と顔合わせが出来ますし、近隣に挨拶回りをするきっかけにもなります。家づくりは一生に何度とあるわけではありませんので、地鎮祭に参加されることも多くはないでしょう。その土地で末永く安心安全に暮らせるよう氏神様へお願いし、家づくりの思い出としても、ぜひ地鎮祭の開催を検討してみてくださいね。
家づくりとしっかり向き合うスタッフのいる栃木県小山市の工務店です。資料請求はこちらから→「高性能×デザイン×コスパを叶える家づくり」第一住宅