“ゼロエネの家”というと、エネルギーを自分の家でつくることでエコや節約につながったり、高断熱にすることで快適で過ごしやすい住環境を実現できたりというメリットがあるとイメージする人が多いと思います。
“ゼロエネの家”にはそれ以外にも見逃せないメリットがあります。それが、健康への効果です。この健康への効果を3つに分けてご説明します。
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部屋と部屋の温度差が少ないためヒートショックを起こしにくい
ヒートショックとは、暖かい空間から寒い空間に移動するなどして、急激な温度変化によって体に負担がかかる現象のことをいいます。温度変化の影響は、とくに血管が強く受けやすいため、脳梗塞や心筋梗塞といった致命的な疾患に繋がってしまうケースもあります。とくに冬場など部屋と部屋の温度差が大きくなる季節には、ヒートショックのリスクも高まるとされています。高い断熱性が前提とされている“ゼロエネの家”の場合は、冬場であっても建物全体の温度が適温に保たれるため、部屋と部屋の温度差も小さくなり、急激な温度差が生まれにくいため、必然的にヒートショックのリスクも小さくなります。
高断熱・高気密でカビ・ダニの抑制が見込める
“ゼロエネの家”には高い断熱性が求められます。快適さを保ったまま高断熱を実現するためには、同時に気密性も高める必要があります。もちろん、単に気密性を高めるだけでなく、汚れた空気が適切な形で屋外へ排出されるようにする必要もあります。
“ゼロエネの家”には、このような仕組みが標準的に組み込まれているため、室内が適度に乾燥した状態となります。アレルギーの原因となるカビやダニは高温・高湿の空間で増殖するので、“ゼロエネの家”は自然とそれらの発生を抑制することができることになります。
また、全室の温度差を可能な限り小さくすることで、窓ガラスの結露も抑えることができます。
内部結露は断熱材をダメにしたり、建材を腐らせたりする原因ともなりますので、それを予防することは家の寿命を延ばすことにも繋がります。
無理に省エネにして体調を崩す心配もない
国としても省エネ住宅・エコ住宅を推進していますが、無理をして省エネをするのは、決して良いことではありません。熱中症になる人が増加したり、ヒートショックを引き起こしたり、省エネ活動をしたことで体調を崩しては本末転倒です。
現在の省エネ化は、おもに温室効果ガス(二酸化炭素)による温暖化を防ぐために行われています。上のグラフを見ると分かるように、家庭からの二酸化炭素排出量のうち47.6%が電気からなので、この二酸化炭素をクリーンなエネルギー減に変えることで温室効果ガス削減に貢献できます。“ゼロエネの家”には、そんなクリーンなエネルギー源の代表格である太陽光発電がほとんどの家で設置されています。
(出典:環境省
温室効果ガスインベントリオフィス「日本の1990-2020年度の温室効果ガス排出量データ」(2022.4.19発表))
“ゼロエネの家”=省エネの家ではない!
“ゼロエネの家”とは使うエネルギーと創るエネルギーの差引がゼロの家をいいますが、性能が悪い家でも太陽光パネルを大量に搭載すれば、結果的にエネルギー収支をゼロにすることができます。
しかし、エネルギーを大量に消費する住宅が省エネ住宅になるはずがありません。そのため、ここでいう“ゼロエネの家”は経産省が定義しているZEH(ネットゼロエネギーハウス)のことで、高水準の断熱性能が求められています。つまり、住宅の断熱性能を上げて使うエネルギー量を減らした上で、消費した分以上のエネルギーを創る家がZEH・ゼロエネ住宅なのです。